2011年08月14日

こちらに

何か書くことがあるかもしれないので、放っておいたスパムコメントを削除した。


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2010年11月11日

采(釆)女橋

工事中の歌舞伎座の塀に新橋演舞場の地図が出ていた。そこに「釆女橋公園」とあって悩んだ。

看板.jpg

iPhoneの地図でも「釆女橋」になっている。

地図.jpg

近くなので、現地まで歩くと、交叉点の信号は……

信号.jpg

やはり「采女橋」だ。三重県に「釆女町」があるせいで変換辞書がこうなっているという話は耳にしていたが、日本全国の「采女」が「釆女」になっては困る。
橋そのものは「采女」。

橋.jpg

公園の説明板ではしっかり爪の開いた「采女」。

説明.jpg

だいたい康熙字典で「采」が「釆部」にあるのもなんだかおかしい。

posted by 小池和夫 at 11:17| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月10日

「新常用漢字表試案」への疑問

「新常用漢字表試案」への疑問

今回の「試案」に関して大きく分けて三つの意見があります。
一つは基本方針への疑義
二つ目は文字選定の方法についての疑義
三つ目に本表の字体についての疑義
です。

【意見の概要】
第一点に「基本的な考え方」への疑義ですが、そもそも「近年の情報機器の広範な普及」が「漢字使用の目安」としての常用漢字表を改訂する根拠になるかどうかです。
試案はこのことについて何らの根拠も示していません。(2)において「社会生活で目にする漢字の量が確実に増えている」と記述されていますが、その根拠となる何らの統計的数値も示されていません。
審議会が何を根拠として「漢字の量が増えている」と断定したのか、またそれがなぜ目安としての漢字表に字種を追加する必要性をもたらすのか、こうした理由を開示することなく「初めに追加ありき」のような試案が作成されたことが疑問なのであります。
また「日本の漢字全体をどのように考えていくか」と諮問されているのもかかわらず、都道府県名を除く固有名詞についてはまたもや「適用範囲から除外」してしまったことにも大いに疑問があります。

二点目に、字種追加のための文字選定の方法に疑義があります。
出現頻度調査をもとに追加字種を決定するという方法を全否定するものではありませんが、調査の内容には多大な疑問があります。この選定方法では、「表外漢字であるために使われなかった(逆に言えば、表内字であれば当然使われたはずの)漢字」を選定することができないからです。
「常用漢字表を目安として、必要であれば表外漢字も使用する」という方針で書かれたものと、「常用漢字表にある漢字だけを使用して、他はかな書きにする」という方針で書かれたものが混在する現状で、頻度数上位の漢字を表に追加するとするならば、「目安」としての漢字表の権威は下がり、「使ったもの勝ち」の状態となるのが明白です。さらに、「定期的な見直し」が頻繁となれば漢字表などあってなきがごときものになりかねません。
また文字種選定の過程では(二度ほど審議を傍聴しての感想ですが)、あたかも「制限漢字表」を作成しているかのような認識で討議をしているように見受けられました。「目安」を作成しているのであれば、特定の漢字が選定されるかどうかは「その字が使えるか使えないか」の選択にはなり得ません。常用漢字表を制限漢字表として用いているのは公文書・公用文と新聞(表外漢字も一部使用)ですが、今回は「公文書で使用すること」を念頭に置いた審議はなされなかったように見えます。

三点目、追加される字種には「表外漢字字体表」の字体を採用されるようですが、運用上の問題点がいくつかあります。また「試案」の漢字表の字体はおおむね「平成明朝体」を用いて示されています。「平成明朝体」はJIS(日本工業規格)で字種を特定するために用いられていますが、字体の規範を示すために設計されたものではなく、実際に字体設計上の問題を抱えた書体です。「表外漢字字体表」も「平成明朝体」を一部変改して印刷されましたが、「表外漢字字体表」をその通りに印刷できる「平成明朝体」は市販されていません。常用漢字表は字種のみならず字体の規範としても四半世紀にわたり参考にされてきました。それを変更するのであれば(変更と見なさない差異も含めて)明文化していただかないと出版・印刷の業務に多大な負担をかけることとなるでしょう。「次」の字体を例に後に詳述します。

【意見の詳細】その一
活字組版の時代から出版・編集に携わってきた経験から、「近年の情報機器の広範な普及」は、漢字の使用にさほど大きな影響を与えてはいないと実感します。新聞や出版の現場では、常用漢字表に基づいた校正・校閲を行っており、そこでは表外漢字を仮名に直すのみならず、行中に仮名が連続して読みづらくなる場合には仮名を適切な表内漢字に書き換えて印刷することも普通です。こうした作業が行われている現場では、原稿が手書きであろうと情報機器を用いたものであろうと最終的な印刷物においての漢字の使用に変化はありません。
一般記事でなく、小説その他の作品の場合には、常用漢字表を制限漢字表として用いることはありませんが、その場合についても情報機器の影響は限定的です。ある作家の場合、「ばか」という熟語を「馬鹿」ではなく、「莫迦」と常に表記します。どちらも表外漢字を含みますが、この作家は手書きで原稿を書いていたときに「画数が少ないから速く書ける」との理由で「莫迦」を選んだと書いています。機械を用いるようになってからも表記に変化はありません。
手書きにおいては知らない漢字は書けないが、情報機器を用いれば多くの漢字を使えるという「試案」の論旨は実態に即したものとはいえません。
手書きにおいては、例えば「衆」の下部を「豕」にするような誤字があっても問題なく流通し、印刷される際には「衆」となります。引用文などでは、たとえ読めなくとも字の形を引き写しておけば済みました。つまり読めない漢字を書くことは可能だったのです。読める漢字が書けない場合は、とりあえず仮名書きして校正時に漢字に直すことも少なくありません。ある評論家の手書き原稿では原稿用紙の升目が一字分空白のまま、その右に振り仮名をつけた状態で入稿されていました。
一方、情報機器による漢字の使用は、基本的に「かな漢字変換」によって漢字を入力することになります。つまり、読むことができなければ「かな入力」ができず、漢字に変換することも不可能です。機械によっては手書きした字形から漢字を選択したり、漢字の一覧から探して入力したりすることも可能ですが、通常の「かな漢字変換」より手数がかかるため滅多に使われることはありません。「はじょう」と入力して「破綻」と変換できる機械は今のところありません(近未来にはできるかもしれませんが)。
そして「かな漢字変換」の際に、機械の基本的設定は「常用漢字表を目安とした漢字使用」となっています。「はたん」を変換すれば、「破たん」と「破綻」が選択候補となります。もちろん誤変換によって珍奇な漢字が出現することもありますが、それはあくまで使用した人間の誤りで、機械が勝手に漢字を使いまくるわけではありません。
ただし、情報機器は「現代日本で通常漢字で書かれる言葉を漢字に変換する機能」を持つ必要がありますから、固有名詞についても当然変換可能に設定されています。「かしまし」と入力した際には、変換候補は「鹿島市」または「鹿嶋市」となり、「姦し」とはなりません。
「近年の情報機器の広範な普及」とは、印刷機械などの高額な設備投資を行わなくても、不特定多数の人々に文字情報を送信できるようになったこと、郵便による通信が携帯電話等による文字通信に取って代わられたことを示します。「文字を(宛名書きを含め)手書きしなくても文書を送れる(秘書を持たなくても)」「自分の書いた文章が活字になる(記者や作家でなくても)」ということが一部の人々の特権ではなくなったということです。
それによって社会生活で目にする文字情報は、飛躍的に増加したといえます。それは「文字情報の増加」ではあっても、「漢字(字種)使用の増加」ではありません。
現実に字種を増加させているのは新聞や雑誌などの編集方針です。十年ほど前から「交ぜ書き」批判の声が大きくなり、同時に個人の唯一性の表現として氏名に異体字を使用する事例が増加しました。さらには追加され続ける人名用漢字も含め、字種の増加は確かに現れてきています。
また、高齢化社会の影響として、新聞・雑誌の本文の文字が大きくなってきていることも漢字の使用の増加に関わっているでしょう。文字が大きくなった分、文字数が減り、情報量を落とさないため漢字の使用が増えるという因果関係があるからです。しかし、表外漢字の場合には新聞では振り仮名をつけていますので、常用漢字表の(振り仮名のいらない)字種が増えることは新聞社にはありがたいことといえるでしょう。
しかし、常用漢字=振り仮名のいらない漢字という図式は本当に大丈夫なのでしょうか。中学校や高等学校の学習指導要領を見る限り、現在の学校教育では、すべての常用漢字を読み書きできることが必須であるとはされていません。当然、一般に社会人が常用漢字表の漢字をすべて読み書きできる保証はなく、さらに二百字近く(小学生が一年かけて教えられる漢字数)追加されたものを十全に理解できるのかどうか、疑問の残るところです。総理大臣が誤読するような熟語を「分かりやすく通じやすい」と認めてよいものでしょうか。
したがって、「情報化時代に求められる漢字使用の目安」は字種を増やすことではなく、むしろ増やさないことのほうが肝要であると言っても過言ではありません。
次に、固有名詞を除外する理由ですが、2(2)に「固有名詞の漢字表記にだけ使われる<固有名詞用の字種や字体及び音訓>はかなり多いというのが実情である。」と数字を示さず書かれています。
実際には国内の行政地名に使われる漢字はJIS第2水準までに(拾い漏らしたわずかな字種を除き)収録されていますから、「かなり」とは数万の話ではないわけです。人名についても電話帳に登録された姓名を収集した上で、第3第4水準が作られたわけですから、「目安」というにはあまりにも特殊な字種や異体字を除いては収録済みと考えられます。自然地名(山岳・河川など)についてもほとんど調査済みといってよいでしょう。
そうであるならば、固有名詞においても「社会生活で読み書きする漢字の目安」に取り込むことは何ら不可能なことではありません。漢字表の規模は多少大きくなるでしょうが、現状でも常用漢字表と、法務省の定める人名用漢字の表を合わせれば相当な数であり、社会生活をおくる上では結局そのすべてを「知って」いなければならないのですから。
この点については、諮問された通り、固有名詞を含めた漢字使用の目安をきちんと答申していただきたいと考えます。


【意見の詳細】その二
一で述べましたように、固有名詞のためにある程度字種の増加は致し方ないとしても、一般の文章表現においては「目安」としての字種数を増やす必要などありません。
とはいえ、本来漢字で表記してしかるべき熟語を仮名交じりで表記することもよいこととはいえません。一般に社会生活で用いられる用語に関しては漢字で書けて当たり前となっていてよいと思われます。
であれば、どのような熟語がその対象となるでしょうか。
ここで、昭和31年7月5日の第32回国語審議会総会で文部大臣あてに報告された「同音の漢字による書き換え」で書き換えられた漢字がどうなったのかを見ることは無駄ではないと思います。
今回の試案では「臆」が追加され、「臆説、臆測、臆病」が例示されています。さらに備考欄には〈「臆説」、「臆測」は、「憶説」、「憶測」とも書く。〉と記述されています。
「臆説」、「臆測」は、「同音の漢字による書き換え」で「憶説」、「憶測」と書き換えられたのであり、「臆病」のみが書き換えを免れ「おく病」という交ぜ書きで表記されてきたものです。
「腎」も同じで、〈「肝腎」は、「肝心」とも書く。〉としています。
「とも書く」などと他人事のように記述されていますが、過去の国語政策が「そう書くように」としてきたものです。
ところが、「潰」は「潰瘍」という熟語のみが例示され、「つぶす」「つぶれる」という訓や、「潰滅」、「潰乱」、「決潰」、「全潰」、「倒潰」、「崩潰」は示されていません。〈「決壊」、「全壊」とも書く。〉とはなぜ書かれないのでしょうか。
「分かりやすく通じやすい」表記を求めて、あえて「当て字」を作り出した過去の国語政策が日本語の表記に与えた影響を踏まえた上での選定をお願いしたいものです。
「浄るり」という交ぜ書きは古くからあって違和感を感じさせませんが、「橋りょう」「障がい者」には違和感を感じます。「橋梁」や「障碍者」は、「歌舞伎」や「浄瑠璃」よりずっと公用文で使用されることの多い熟語ではないでしょうか。
なぜ「碍」や「梁」は追加されないのでしょうか。
そうした表記が頻度数上位に上がらなかったから、と、それだけなら、「そのどこに〈文化〉があるのか」と言わねばなりません。「歌舞伎」や「浄瑠璃」が書ければ〈文化〉なのでしょうか。
個々の事例を見れば「誘拐」とも「連行」とも表現可能な事件が「拉致」と一括りにされ、累積赤字も倒産もみな「破綻」と呼ばれる、報道機関の思考停止の表れでしかない熟語を常用漢字で表記できるようにすることは〈文化〉なのでしょうか。
「拭」を追加しながら、医療・介護用語の「清拭」(せいしき)が読めないのも、いかにも行政組織の風通しの悪さを象徴しているようです。


【意見の詳細】その三
三点目は字体の問題です。まず「鹿」と「嫉」の間にある「口へんに七」の漢字について。
この漢字は長らく「叱」という誤った字体で流通してきました。「試案」でも筆写の楷書に関しては、この字体を書いて構わないという例示を行っているくらいです。当然日本工業規格(JIS)でも、長年「叱」を例示していましたし(正誤表で「口へんに七」としたことはあります)、国際規格においても中国、台湾、韓国の各国の規格ですべて「叱」を例示していました。
「表外漢字字体表」で、「口へんに七」を「しかる」とされたため、JISではこの字を情報機器で使用できるよう改正を行いましたが、「口へんに七」は、台湾からの提案により「叱」とは別字として新たに国際規格に、それも「統合漢字」ではなく「統合漢字拡張B」に収録が決定しておりましたので、JISでもこの字を第3水準に置き、国際規格との整合性を保ちました。
その結果、携帯電話や、旧来の情報機器で使用できるのは「叱」のみということになっています。この意見を印刷物として送付しない限り、「口へんに七」という形でしかこの字を表現できないのはこのためです。
漢字表の「表の見方」(付)にわずか三字のみ(頬・賭・剥)の「使用を妨げるものではない」漢字が示されていますが、追加候補字の中には、「機種によって字体の変わるもの」と、「情報機器では別字として扱われている異体のうち片方のみ使用できる機械があるもの」の二種類があるのです。
前者については近未来的に字体の統一が可能ですが、後者については悲観的です。
「情報機器では別字として扱われている異体のうち片方のみ使用できる機械があるもの」は、「叱」「填」「剥」「頬」の四字です。「試案」が簡易慣用字体を採用したため、「痩」「麺」についてはどの機械でも使用可能です。
「機種によって字体の変わるもの」は「茨」「淫」「牙」「葛」「僅」「稽」「拳」「采」「餌」「哨」「煎」「詮」「遡」「遜」「嘲」「捗」「溺」「賭」「頓」「那」「謎」「箸」「蔽」「蔑」の24字くらいでしょうか。
これらの漢字について字体を一種に決めるのはかなり難しいかと思います。
次に「次」について。
常用漢字表は、当用漢字字体表の「類型の統合」により、「冷」と「次」が同一の左部分を持つように設計された活字を用いて印刷されています。「次」は小学校第3学年に、「冷」は第4学年に配当されていますが、教科書体の活字では左部分は同一です。
一方、表外漢字字体表は「恣」や「茨」の、「冫」のような部分の一画目を水平に作るよう要求しています。
日本工業規格(JIS)では、「冷」と「盗」が同一の「冫」で、「次」と「資」と「諮」と「姿」がもう一つの形(二画目を緩やかにはねる形)、そして「恣」と「茨」が第三の字形(一画目が水平)をそれぞれ持っています。
その理由は、JIS規格票では1978年以来、字源的に「次」の左部分が「冫」ではないことを字形に表現した書体を規格票に用いてきたためで、現在の平成明朝体もそれを踏襲しています。ただ、JISでは「包摂規準」を設けて、「冷」「次」「恣」の左部分を区別しないと明示していますから矛盾はありません。
一般に流通している印刷文字でも常用漢字表に倣って、「冷」と「次」が同一の左部分を持つように設計しているものが多数を占めます。「試案」でも、漢字表以外の部分ではそのような明朝体を使用しています。しかし、「試案」の漢字表では前述の通り平成明朝体を使用しているため、「冷」と「次」の左部分が異なります。字体についての解説では、この点について注意をしていません。もし、「試案」のように漢字表が平成明朝体で印刷された場合、これまで常用漢字表に従って作られてきた印刷文字を改定することになる可能性もあります。このふたつが印刷字体では異なる左部分を持つことを、小学生にどう教えればよいのでしょうか。
さらに他の漢字でも、「常用漢字表」と「JIS」が同一の明朝体で印刷されることになれば、印刷文字制作の際、規範となる字形が一つしかないことになり、わずかの差異があってもそれが、「字体の差」であるのか「意匠の差」あるいは「書風の差」であるのかを判定しがたくなるおそれがあります。


【まとめ】
●固有名詞を含め、「日本語を表記するのに最低限必要な漢字」を選定していただきたい。
●視認性が悪く、誤読されやすい「交ぜ書き熟語」を公用文からなくせるような配慮(適切な書き換えによって「交ぜ書き」をなくす方策も含みます)をしていただきたい。
●漢字表に平成明朝体を使用しないでいただきたい。

以上です。


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2008年06月18日

抹殺された漢字たち

2008年6月16日、文化審議会漢字小委員会を傍聴した。マスコミ等で報じられている通り、議論の多くが「俺」一字に集中し、充分な討議が尽くされたとは思えない状態のまま、結局この日もレパートリーの確定はできず、7月15日に持ち越された。
ワーキンググループによる検討結果(第2次)では、追加候補漢字は188字と、第1次の217字からさらに減った。
選定の基準として、@出現頻度が高く、造語力(熟語の構成能力)も高い。A漢字仮名交じり文の「読み取りの効率性」を高める。B固有名詞の例外。C社会生活上よく使われ、必要と認められる。という理由が挙げられている。どの漢字がどの理由で残されたのかは明示されていない。
第2次候補案に残った漢字のうち、固有名詞の例外(都道府県名その他)と思われるものは、藤、岡、奈、阪、韓、鹿、熊、鎌、梨、阜、埼、畿、栃、茨、媛と15字ある。また、動植物名を表記するためという理由(これについては委員に両論あるという)で、虎、亀、鶴、駒、蜂、梗の6字が選ばれているようだ。
誰、俺、枕、爪、嵐、宛、蜜、崖、唾、唄、虹、丼などはCの理由にあたりそうだ。頃や謎が選ばれているが、これらは造語力(熟語の構成能力)が低いという理由で常用漢字表に選ばれなかった漢字であるから、やはり頻度の高さから入ってきたものだろう。
Aの理由そのものが理解に苦しむ。熟語としての頻度の高さであるなら@と区別しがたい。強いて言えば、表外字であるために使用できないため仮名書き(片開き)にされていた熟語を使えるようにするため、であろう。稽古、要塞、拉致、腫瘍、覚醒、洞窟、遮蔽、戦慄、傲慢、羞恥、諧調、語彙、憧憬、緻密などはこれに該当しそうだ。ただ、熟語として別表に採用する案は第2次で取りやめとなったため、これもまたよくわからないこととなった。
最も問題なのが、造語力(熟語の構成能力)の高さという観点である。実は検討資料である凸版調査結果を見るとき気になるのが、昭和31年7月5日の第32回国語審議会総会で文部大臣あてに報告された「同音の漢字による書き換え」である。これは当用漢字で書けない熟語を、同音の当用漢字に書き換えて用いるというもので、微妙に、または大きく意味の異なる漢字を代用することで熟語本来の意味を変容させた、漢字制限時代の暴挙であるが、現在でも多くの熟語が書き換えられた状態で流通している。常用漢字表に「妄」が追加されたため、「盲動」は「妄動」と書くことが可能になったが、現在でも仮名漢字変換では「盲動」がデフォルトである。常用漢字表は当用漢字表とは異なり、制限漢字ではないのだから、書き換えを余儀なくされた熟語は旧に復してもよいはずであるのだが。ちなみに、文化庁ホームページの国語施策情報システムでは、第21回から第32回総会、つまり第3期の審議会の内容だけが空白になっている。
このように「書き換えられた漢字」を、委員会資料の「漢字出現頻度表 順位対照表(Ver/1.3)から拾ってみると(後ろの数字は凸版順位と書き換え前の熟語)、
訊 876 訊問
智 989 理智、無智
闇 1197 闇夜
弘 1300 弘報
坐 1363 連坐、坐視、坐礁、坐洲、
廻 1386 廻廊、廻転、廻送、
溜 1493 乾溜、蒸溜
潰 1575 潰滅、潰乱、決潰、全潰、倒潰、崩潰
駿 1703 駿才
繋 1756 聯繋、繋船、繋争、繋属、繋留
綺 1871 綺談、綺麗
惣 1908 惣菜
叡 1967 叡智
苑 2045 苑地
讃 2110 讃仰、讃辞、讃嘆、讃美
滲 2117 滲蝕、滲透、
腎 2275 肝腎
煽 2286 煽情、煽動
裳 2337 衣裳
蹟 2351 遺蹟、奇蹟、旧蹟
撒 2399 撒水、撒布
叉 2427 交叉
掠 2432 侵掠、掠奪
翳 2468 暗翳、陰翳
昏 2474 昏迷
挺 2477 一挺
甦 2488 甦生
などが2500位までに登場する。
3500位までなら
嵌 2560 象嵌
倖 2576 薄倖、射倖心
輛 2649 車輛
聚 2631 聚落
晦 2665 教晦
諒 2682 諒解、諒承
煉 2684 煉炭、煉乳
曝 2691 曝露
幀 2695 装幀
訣 2702 訣別
歎 2715 歎願
傭 2772 雇傭
毀 2790 破毀
戟 2801 刺戟
蕃 2843 蕃殖、蕃族
悖 2851 悖徳
鑿 2889 開鑿、掘鑿
誦 2942 吟誦、諳誦
絃 2951 管絃、絃歌
蒐 2953 蒐荷、蒐集
蝕 2965 蝕甚、侵蝕、滲蝕、日蝕
聯 2868 聯繋、聯合、聯想、聯珠、聯邦、聯盟、聯絡、聯立
燻 2985 燻製
藉 2987 慰藉料
吃 3018 吃水
澱 3036 沈澱
誼 3062 恩誼、情誼
輯 3066 特輯、編輯
饗 3085 饗応
涸 3111 涸渇
翰 3151 書翰
兇 3153 兇悪、兇漢、兇刃
剋 3192 下剋上、相剋
恢 3212 恢復
徽 3322 徽章
碍 3461 障碍、妨碍
抛 3494 抛棄、抛物線
がある。
ところが、この中で第2次候補案に残ったのは、闇、潰、腎の3字でしかない。
答申にすらなっていない国語審議会の報告を元にして書き換えられ、その結果、新聞・雑誌での使用頻度が激減したこれらの漢字について、漢字小委員会が何らのコメントも発していないということに驚きを感じないだろうか。一部の気骨ある著者の使用した熟語によるものか、書き換えの対象になっていなかった用語が拾われたのか、ともかくもこれらの漢字は生き残ってきた。それ以外にも慾、繃、禦、沮、褪、頽、銓、滌、躁、熄、沒、屍、蹶、掩、嚮、佚、劃、旱、歇、捐、畸といった漢字たちが本来の役目を奪われて抹殺されてきたのである。
こうした不幸な漢字たちよりはるかに使い途のない漢字が堂々と出現頻度上位に現れることが、今回の検討資料の大きな問題点なのではないかと考えるのだが、いかがだろうか。
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2007年11月20日

助詞の選択

□には何が入るか。

今日はこの山□登る。
この山□越えれば故郷だ。
二百段の階段□上る。
階段□昇ったところに事務所がある。
学生は東京□目指す。
学生は東京□行く。
学生は東京□行った。
学生は東京□着いた。
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2007年04月25日

原典どおりのはずが

6〜7年前に、岩波新書の『翻訳はいかにすべきか』の引用のあり方に文句をつけた。
そのときは原典を見ていなかったのだが、国会図書館近代デジタルライブラリで見てみると、なんと字体どころか文章そのものの引用ミスまで発見。
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「懸命に」が抜けている。情けない。

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2007年04月18日

戸籍統一文字

昨日あたりからつながらなくなってしまった。
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2007年04月16日

東林寺大開帳

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三重県いなべ市の東林寺で14、15日、15年に一度の本尊大開帳が行われた。

本尊の聖観世音菩薩像は伝行基作。

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15日には近在から470人の子どもとその保護者が集まり、1200人の稚児行列が村から坂道を下って境内まで練り歩いた。
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2007年04月10日

『アイデア』届いたが

いきなり後ろから読む。「描き文字考」6回目、リードの旧字遣いに悩ましいもの発見。「映画常設館」「画」を旧字にするなら「館」もやってほしい。「木村俊徳」の「徳」も。「浅野秀治」は「淺野」だろうし。
で、問題は「和文活字を見る眼」。
戦前の明朝体では「強」よりも「強」を探す方が難しい。
って、おいおい。校正したときは、
たとえば戦前の明朝体では「●強−ム+口」よりも「強」を探す方が難しい。
逆にされてるよ。
つらいなあ。
ラベル:活字
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試行錯誤

jack.jpg使い勝手がいまいち。

この字については別になにも。
posted by 小池和夫 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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